1.予算制度とは
予算制度とは、会社にとっては、自己の業務活動の方向性を明確にし、コントロールする仕組みです。
投資家からすれば、事業計画や年度予算から事業の将来性を判断するため、予算制度は重要な投資情報を提供する仕組となります。
そのため、たとえ前年度の実績を上回ったとしても、予算が達成できなければ、予算管理能力に欠けている会社であると判断されるおそれがあります。
2.予算編成
予算編成においては、単に損益予算だけでなく、人件費予算、広告宣伝予算等を含む総合予算であることが必要で、かつ個々の予算が各々独立したものではなく、相互に関連付けて設定されていることが必要となります。
なお、予算編成に関しては、必ず、取締役会の承認を受ける必要があります。
3.予算実績差異分析
予算と実績との差異分析を念頭においた予算制度を整備する必要があります。予算と実績との間に差異が生じた場合には、その原因を迅速に分析しなければなりません。そのためには、予算を作成するときの数値の根拠を明確にした「積み上げ方式」による予算作成が求められます。 そのためには予算単位を明確に定めておく必要があります。 予算単位は、一つには「組織」が挙げられます。つまり貴社の組織を明確に定め、それぞれの組織を集計単位として予算を作成します。 予実分析の結果は、翌月15日頃までに明らかにし、月次の取締役会等へ報告する体制を整備する必要があります。
4.予算見直し
予算の修正に当たっては、社長の独断で決定するのではなく、取締役会や予算委員会等で検討し、全社的な合意の上で適時に行う必要があります。 予算の修正を頻繁に行うと現場のモラルや士気にかかわるので予算修正の明確な基準を決めておくことが望まれます。
5.予算と上場準備
公開後は、公表した予算に対して実績が売上高で10%、経常利益・当期純利益で30%以上の変動が生じること等が明らかになった場合には速やかに公表することが義務付けられます。 従って、これに対応できる迅速な予算実績管理の体制作りが要請されるのです。